「おたまじゃくしの物語」

これは地球にまだ、日本も人間もいなかった大昔のお話です。地球のほとんどがまだ水に覆われていた頃、1匹のおたまじゃくしがいました。大きな海を気ままに泳ぐおたまじゃくしの前に陸が現れました。でも、陸をはじめて見たおたまじゃくしはそれが何なのかさっぱりわかりません。ただ、
「この茶色いとこに行ってみたい」
おたまじゃくしはそう思いました。

勢いよく海からはい上がったおたまじゃくしでしたが、苦しくて息がもちません。それから何度やっても状況は同じでした。そんな挑戦をし続けていたある日、おたまじゃくしには2本の足が生えました。その足で陸の砂地を少しだけ歩くことができました。でも、苦しさは相変わらずでした。しばらくは陸に上がることよりも息を止める練習をしました。水の中では簡単に息を止められるのに外では息もできないため、水から頭を出して息を止め続けました。するとどうでしょう。しばらくすると自然に呼吸ができるようになっていました。おたまじゃくしは肺を手に入れたのです。そして、
「よーし」
と力を入れて陸を歩きはじめました。でも、ずっと泳いでいたおたまじゃくしにとって、2本の足で歩くということは難しかったのです。

何度も転びながらも、陸地を前進することをあきらめなかったおたまじゃくしは、ついに2本の手を手に入れました。まだ歩くことは難しかったおたまじゃくしでしたが、4本の手足でぴょんぴょんと飛び跳ねることを覚え、あこがれの陸地を自由に歩き回れるようになりました。

見た目はおたまじゃくしとは全く違う姿。まるで、虫のような姿。そして、陸から上がったとはいえ、海岸近くの窪地に住んでいたことから、努力して陸に上がったおたまじゃくしのことを「窪地の虫」から

“蛙(かえる)”と呼ぶようになったとさ。

 


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