「Memory Photographs」

温かな春に彼女ができた。この心にも春がやってきた。

二人の大切な記念日に満開の桜の下ではじめて二人で写真を撮った。僕も彼女も晴れやかな笑顔の中に少し照れた表情を隠しながら写っていた。お互いに意識し過ぎて二人は微妙な距離があいていた。

夏には水着で浜辺で写真を撮った。写真の二人の距離は少し縮まっていた。暑かったけど二人は寄り添っていた。真っ黒になった顔は笑顔で写っていた。

秋には落ち葉の舞うイチョウの下で写真を撮った。写真の二人はさらにくっついていた。寒くなりかけていたからか、二人は寄り添っていた。二人とも笑顔で写っていた。

冬には大きな雪だるまの横で写真を撮った。写真の二人の距離はもっともっと縮まっていた。寒かったこともあってか、お互いに手をしっかりとつないで、ギュッと握って、二人はしっかり寄り添っていた。二人とも笑顔で写っていた。

そして、二度目の春を迎えた。二人の写真はもうこれ以上増えなかった。僕は一人ぼっちになっていた。

写真の中の僕はいつも笑っている。でも、今の僕は涙に包まれている。
写真の中での彼女はいつも笑っている。最後に見た彼女の表情はとてもつらせうだったのをよく覚えている。あの子は今どんな表情をしているのだろう。写真ねように笑顔で寄り添った二人にはもう戻れない……




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