「CHRISTMAS STORIES
 -white snow black snow」

「今から出るよ!充電切れるかもしれんけど、そのときまでには行くから、あったかくして待ってて☆」
ユキのケータイにヒカルからのメールが届いた。

12月24日、クリスマスイヴ。前日降った大雪が、クリスマスモードをさらに盛り上げていた。街路樹や駅のイルミネーションも、雪に反射し、さらに輝きを増し、行き交うカップルたちをあたたかく包んでいる。駅前の大きなモニュメントには、たくさんの人がいた。そこは待ち合わせのポイント。そこでたくさんのカップルが一つになり、手をつなぎ、イルミネーションの中に消えていく。街中どこも、手をつないで歩く2人のハート型の影であふれている。

―独りが目立つ―
そんな日に、そのモニュメントの前で、一人、待ち続けるユキの姿があった。約束の時間をすぎても、ヒカルは現れない。ヒカルからのメールが届いたのは2時間前。心配になったユキが何度も電話をかけたが、
「おかけになった電話は電波の届かないところにあるか、電源が入っていないためかかりません。」
その電話の案内の声を聴くユキは放心状態であった。ユキの心は不安でいっぱいだった。


その頃、ヒカルは渋滞の列の中にいた。溶けた雪が夜になり、凍ったことで、トレーラーが横転し、その道路をふさいでいたのだ。事故に巻き込まれはしなかったが、その道を戻ることもできず、完全に立ち往生していたのだった。その時にはすでにヒカルのケータイは充電が切れていた。ヒカルもそのことには気づいていた。しかし、ユキの電話番号はケータイに登録してあるだけ。まったく覚えていない。ユキとの連絡手段は完全に断たれていた。機能を果たさなくなったケータイは、助手席の紙袋に入れられていた。

朝は真っ白だった雪も、排気ガスやどろですでに、真っ黒に変わっていた。ユキの不安な心を表すかのように・・・。

第2話へつづく。作品の都合上、明日読まれることをおすすめします。




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