「涙のあとに」

 第5話

「おはよう。」
次の日、優卯くんはお母さんに言われたとおり、大きな声であいさつをして教室に入りました。
でも、思ったとおり誰もあいさつをしてくれません。また泣き出しそうになった優卯くんでしたがお母さんの言葉を思い出しました。
「謝ることも忘れちゃだめよ。」
その言葉で笑顔を保っていた優卯くん。みんなの元に歩み寄り、言いました。
「みんな。学校のルールやぶってごめんね。ぼくは悪いことをしたんだ。許してくれないのはあたり前だと思うんだ。ほんとにごめんね。ぼくはみんなと友達でいたい。みんなと一緒に遊んだ時間をいつまでも大切にしたいから。みんなと過ごした楽しかった時間はぼくの宝物だよ。やっぱり、みんなはぼくの大切な友達だよ。」
そこには昨日の泣き虫の優卯くんの姿はありませんでした。
そこにいたのは以前のような元気なしっかりした優卯くんでした。でも、クラスの仲間たちは何も言ってくれません。みんな、下を向いたままでした。
「おい、行こうぜ。」
誰からともなく出たその一言とともにみんないなくなってしまったのでした。
昨日は相手もしてくれなかったのに今日は少しの間(ま)がありました。みんなの反応は昨日とは少し違っていました。
みんながちょっと困った顔をして、何も言えなかったのは、何かを感じていたのは、何かを感じていたからなのかもしれないことを、優卯くんも気づいたのかもしれません。
優卯くんは友情を信じていました。

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