「涙のあとに」

 第9話

「いたたたたた。」と立ち上がろうとする子達のもとに、優卯くんは歩み寄っていたのです。
「みんな、大丈夫?」
「大丈夫だけど…だけど、なんでお前いるの?」
「だって、みんなぼくの大切な友達だもん。ケガはない?」
幸いなことにケガをしている子はいませんでした。
「一緒に走ろ。」
と優卯くんは手を差し出しました。
みんなはためらいながらも優卯くんの手を握り、起き上がりました、そして、誰からともなく、手をつなぎ、全員でゴールへと向かって歩き出しました。
「優卯。ごめんな。」
「えっ?何のこと?」
優卯くんは気づかないふりをして笑って答えました。
「お前はやっぱり友達だよ。ここにいるみんな友達だよ。」
みんなで笑いながらゴールです。いつしか、優卯くんたちは拍手に包まれていました。
ゴールで待ち構えていた先生は真顔で言いました。
「先生は全力を出し切りなさいと言いましたよね?」

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