「幼き日の輝き」

白いもやの先にぼんやりと映った一人の小学校がいた。彼は毎日走り回って、毎日泥だらけになりながら遊んでいた。傍目から見ても彼はとても楽しそうだった。

彼は学校では友達と一緒にサッカーに夢中になり、10分しかない休み時間でも一生懸命ボールを追いかけていた。家に帰ればランドセルだけ置き、すぐに自転車に乗り、河原や裏山に向かい、虫や小さな魚たちを追いかけていた。彼の目はとても明るく輝いていた。

なんとも楽しそうな彼の表情に妙な懐かしさを感じずにはいられなかった。
「お兄ちゃんも一緒に遊ぼっ」
と彼はサッカーボールをぼくに向けて蹴った。彼の蹴ったボールは徐々に加速し、ぼくの顔の方に飛んできた。
「危ない」とっさにかがんだがよけきれず、ボールはぼくの顔面を直撃した。

…気がつくとそこは自分の部屋。ぼくは夢を見ていただけだった。ふと我にかえったとき、はっとした。あの少年は小学生の頃の自分だった。同じ毎日の繰り返しに疲れきった今の自分とは大違いであの頃の自分はとてもいきいきとしていた。

彼はおそらく教えに来てくれたのだろう。同じ毎日なんてありえない。毎日新しい発見があるということを。子どもの頃のあの純粋な気持ちを。時間に追われることでしか生きられなくなった今の自分にきっかけをくれたんだろう。あの頃のように。明るく純粋に輝く目を取り戻させてくれに来てくれたのだろう。

もしあの夢に戻れるなら、今度は一緒にサッカーをしよう。時間なんて気にせず、真っ暗になるまでボールを追いかけよう。一緒に…。



 


このホームページ上にある画像・文章すべての著作権は放棄していません。無断転載はご遠慮下さい。
無断で複写複製することは、法律で認められた場合を除き、著作権の侵害になります。
  
使用を希望する場合はこちらまで。

  作品選択へ
 




(下記“backアイコン”はJavascriptを使用しております。ケータイからご覧の方でエラーが出ましたら「クリアキー」でお戻りください。)