「ギターとともに」

高校のとき、ギターが欲しくてバイトをした。ギターのために必死に働いた。
そして、ついに買うことができた憧れのギター。はじめて手にしたギターがうれしくて、暇を見つけてはいつも弾いていた。ギターに触れることが楽しくて仕方がなかった。覚えたコードが増えるたびに小学生のように、勝手にメロディーに合わせて唄っていた。そして、いつしかそれが曲作りになっていた。

ある日、駅から聞こえてきた心に響く歌声。その声に一目惚れ(一耳惚れかな?)。それ以来、その人の隣が指定席になり、いつの間にか一緒に唄うようになっていた。
ぼくらはユニットになった。二人で作る曲もたくさん増えていき、ライブハウスで演奏するようにもなった。最初は失敗することもあったライブも、回数を重ねるたびにぼくらのハーモニーは合致し、ファンも増えていき、音楽の賞も幾度となく受賞していった。CDも出すたびに売れていった。ライブハウスの人からも好評の声をたくさんもらい、とても気に入ってもらえた。ぼくらのすべてが直線的に伸びていった。しかしながら、声はどこからもかからなかった…。メジャーデビューはまだ夢のまた夢。
これでいいのか?
このままでいいのか?
とまで考えるようになり、曲作りにも力が入らなくなっていた。相方も同じように悩んでいた…。

そんなとき、目に入ってきたのは1枚の写真。それは、はじめてギターに触ったその日に撮ったもの。音楽とは音を楽しむと書く。その写真はまさにそれを表していた。

ギターを弾き続け、固くなったこの指先は絶対に裏切らないはず。今までに売れたCDの数が認めてもらえた証拠なんだから。これからも迷うながらではあるが、心からのメッセージを唄っていこう。ともに歩んできた相方とともに。そしてぼくの音楽の歴史をともに歩んできたこのギターとともに…。いつもそばにいるこのギターとともに…。


 


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